1/13/2009

冬の結城紬

結城紬は、冬が似合いますね。

繭を真綿に加工し指先で糸につむぎ出した紬織物、素朴な表情ながらも絹のきらびやかさを内に秘めています。
でも、正直、はじめ見たときは、「絹」のイメージからは遠いものでした。
「結城紬は万葉集にも出てくる」と聞いたことがあります。人間国宝シリーズ43という本の「結城紬」の年表には「紀元前656年」からはじまっていて、その長い歴史に驚きです。

茨城県に旅行で行った折に、結城紬の産地の結城市に寄り「奥順 つむぎの館」で染め織体験してきたことがありました。絞り染めが体験できるお部屋に入ると、染料の原料になるタンニンをいっぱい含んだ草木からの匂いは、少々強烈な「悪臭?」と言った感じがたちこめていました。そんな印象の「臭い」が布に何度も何度も浸してはギュウギュウ染みこませていくと「大雨の後に木からモワーと香ってくるような」そんな感じの匂いの印象が変わっていきました。矢車附子(やしゃぶし)という染料植物の一つで染めていきました。
私が染めたTシャツが黒灰色に染まっていくと染めの作業を指導してくれている先生が「良い矢車色になったね」と言ってくださいました。
矢車(やしゃ)という色は私がいくつか調べた本の中からは色の表現としては見当たりませんでしたが、「矢車色」って、かっこいい響きだなって思いました。
矢車附子にアルカリ水を加えると黄色味に紫がかった感じになったりするそうです。またアルカリ水を加えなければ艶っぽい黒と灰色の間の色合いになります。なんだか、化学の実験室みたいですね。昔は「アルカリ水」の代わりに石灰をいれていたそうです。確かに、石灰を水に入れるとアルカリ水になります。

「化学式が用意されていたわけでもないのに昔の人はよくこんなことが思いつくなぁ」と思いつつ、自然と風土を汲みながら文化が発達していって風土の一部分が着物という形に現れていったように思います。「伝統」は守るだけのものでもなく、その土地への適応力というか、常に発展性ある可能性を秘めている世界なのかもしれないなって思いました。それが紬という着物のように、人の生活の中に馴染んだり、美しく見えたりしていくものなのですね。
不思議なのですが、ニューヨークの冬は特に寒いので、後染めの着物より「紬に包まれたい」そんな衝動が起きます。「紡ぐ」という言葉だけでなんだか温かな印象です。

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