4/12/2009

黄八丈

着物の楽しみは「着ること」が第一ですが、やはり、日本の各地方の昔からの生活、風俗を映し出す鏡のように感じる着物に出会うことも一つの楽しみです。
まさに黄八丈は、その島の生活の厳しさ、また火山帯である自然の厳しさと南国風土の大らかさを兼ね備えた中で作られた素晴らしい着物だと思います。とても興味深い着物です。
写真の「黄八丈」と書いてあるこの大きな本は、昭和50年に「参万円」で限定1500部発売された本です。本の箱を開くと、更に本をカバーしている箱があって、その箱を開くとやっと本のページを開くことが出来ます。
そして、なんと実際の黄八丈の裂地も本に貼ってあります。ページに貼られた布地にはセロハン紙で保護されていました。(こちらの写真が実際の裂地)
黄八丈の美しい写真がたくさんのページに登場します。
そして、私がとても憧れる白洲正子が、こうした黄八丈に袖を通している姿が目に浮かびます。私が黄八丈に興味を持ち始めたのは、白洲正子が黄八丈を着ている姿の写真を見てからでした。決して華美ではありませんが、縞柄の多彩さに鮮烈な印象を持ちました。
多くの人が愛用できるに至ったのは、明治20年から30年代頃です。
その前と言うか江戸時代までさかのぼりますが、お上への貢納品でした。

八丈島というその島の歴史についても本には書いてありました。ニューヨークという大都市に今自分がいても少し共鳴できるところがあって、流人の島と言われた八丈島の話にとても陶酔してしまいました。 本には「島の人々は、漂着人や流人をあたたかく迎え入れ」また、「流人の中には、武士や僧侶のような教養の高い者もあり、また諸種技芸にたけた人々も多かったため、国地からの文化の伝達者として島民に貢献した例もかなりあったのである。」と書いてありました。
逆にいろんな分野の人が島の中に集まったのではないのかと思いました。
そして、ある意味、多彩な分野の人たちが集った島だからこそ新たに生みだされるものがあるのと同じに、各国からいろんな分野に夢や希望を持って世界舞台の窓口としてニューヨークに集まりアートからビジネス、そしてファッション、各々の夢が新しい形として生み出されていく・・・ほんの少しですがニューヨークと重なるような気がしました。
本書の「あとがき」に著者の浦野はこう書いています。
「本土遙かに南、黒潮の洗う、輝く太陽に明るさの溢れる八丈島、そしてその反面に、鳥もかよわず便りさえもとだえがちという流人の島八丈、この極端な明暗を合わせもつ島を発祥地とする黄八丈は、かつては貢納品として、また唯一の商品として島の生活を支えてきた大切なものだったのです。流人の島の暗さを忘れ去ろうとする島民の希いと期待をこめて」
「島民の願いと期待をこめて」、そこで作られた黄八丈のように、私もニューヨークで願いと期待を胸に夢を形にできたらいいなって思うし、形になった夢が人に伝えていけるものになることが出来たらと思いました。



本を開けばページいっぱいの黄八丈

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