6/03/2009

Verizon Wireless広告の着物スタイリスト

San Francisco空港にて

3月の冬時間から夏時間に時差が変更した日、いきなりVerizon Wireless (ベライゾンワイヤレス)のポスターの仕事の依頼が舞い込んできました。仕事内容は、着物コーディネート・スタイリスト、撮影現場での着付け・・・一言で言うと丸投げの状態。そして撮影日まで10日しか時間をいただけませんでした。
Verizon Wirelessという会社はアメリカ最大の携帯電話会社で、今回の話はグローバル展開する上で日本をカバーするバージョンのポスターでした。ご一緒に仕事をするフォトグラファーやプロデューサーの人たちは全てアメリカ人。もちろんクライアントもアメリカ人です。
少し驚いたのが、着物のことを、「婚礼の席で着ているようなもの」と表現していたり、イメージしているもののサンプル画像が浴衣の写真が送られてきたりと・・・頭の中が、「何を望んでいるのかな?」と"?マーク"でいっぱいでした。
「着物」についての説明からしないといけないのかな?と考えている間もなく、「まかせる!」と言われてしまいました。
きっと、プロデューサーは、日本バージョンだけではなく、いろんな国のバージョンのポスターも同時進行で作るので、大変だったと思います。
イメージ画像から方向性を確認し、そこから着物の提案と着物選びの着物スタイリスト業務、その上で着物の調達のコーディネート。振り袖を十五着からはじまり、女性ものの小紋から訪問着までの着物を十五着、そして男物の着物から、子供の着物、和装アイテムから着付けに必要な道具(帯枕とか帯板とか・・・)。 ニューヨークにある物だけではとても間に合わず、日本からも大量に調達いたしました。

こんなに大きな仕事を、なぜか、私個人で引き受けてしまい、日本からの調達したものが一つでも運送する過程で手違えや何かが起これば、撮影日に間に合わない・・・そんな大きなプレッシャーを一人で悶々と抱えていました。
時差の関係もあり、日本との電話でのやりとりは深夜・・・、「ニューヨークの夜が明けてしまったな-」と思っていると、午前8時から制作のプロデューサーから電話とメールの嵐・・・。
私が男の着物の提案として出したイメージ画像がお気に召さなかったのか、「クライアントから『男の着物にゴールドのドラゴンが描かれていない』との質問があったが、男の着物はどうしてこんなに地味なのか・・・」とプロデューサーに言われ・・・、”ゴールドのドラゴン!?” 歌舞伎の舞台衣裳か、偶に卒業式で派手な羽織袴を着た男の人を見かけるけど「クライアントがイメージしている男の着物はそのことかな?」と、難解な問題を突き付けられた気分でしたが、出来る限りクライアントが望むイメージの着物を探しました。探すと見つかるものですね。時代を遡ること安土桃山時代のアウトローな男性の着物が素晴らしく華やかで、昨年もユナイテッドアローズがアウトローな男性の着物を提案するファッションショーをしているのを見つけました。さすがにゴールドのドラゴンはいませんでしたが、大変華やかな男性の着物です。でも、値段を見てみたら一着100万円以上でした。数も多く用意しないといけないのに、一着にこんなにお金をかけられない・・・「着物でなくて、浴衣ならどうだろう?」と思い、以前、ユナイテッドアローズで男の浴衣のデザインを提案したことがある六本木で呉服屋を営んでいるawaiさんに電話をかけて相談してみました。店長のキノピーさんが快く話を聞いてくださいました。でも、その時の浴衣のデザインは、とてもシンプルな柄でした。
仕方がないので、男の着物についての歴史と、また、今現在でも確かにユナイテッドアローズなどでは派手なアウトロー(安土桃山時代を意識した)そんな着物をファッションショーなどでは出品しているけど、入手にはかなりのコストがかかること、を素直に伝えました。ご理解はいただけましたが、やはりそれでも「派手に」というご要望でした。
着物を「伝える」と言うことの難しさを、痛感しました。

着付け教室には、調達した物で段ボール箱が日に日に積み上がっていき、来る生徒さんが「これ、どうしたのですか?」と目を真ん丸くして見ているばかり。
撮影前なので、箱の中は見せられませんでしたが、広告の撮影があることを話して、これを機会にと、撮影時の着付けなどについても、教えたりいたしました。

撮影日までは、ドタバタ劇のような数日間。
そして撮影現場でもハプニングはいろいろ起こり、先月The wall street journalという新聞に広告が載ったときもハプニン発生!それはまたの機会に書こうと思います。
アメリカ人が制作するポスター広告、日本人は私一人という状況の中で着物を表現することがどんなに難かしいことなのかを痛感しながらも、今となれば笑える話のようなハプニングも含め、いつか書きたいです。

先週、プロデューサーから正式版のポスターが出来上がったものが私の自宅に送られてきました。

沢山の日本からご協力してくださいました方たちに、御礼を申し上げたいです。
ポスターが出来ました。心から、ありがとうございました!

*大きな封筒に、厚紙で両面保護されてその上にビニールで保護されていました。
丁寧に送ってくださって、本当に心配りの細やかな素晴らしいプロデューサーさんでした。

6 件のコメント:

  1. いつもブログを拝見しています。

    ポスター撮影お疲れ様でした。
    日程がせまった中での準備期間の
    部分を読んでいるとき、わたしのほうも
    胸がドキドキしてきました。

    そして、出来上がったポスターを
    拝見して息を呑みました。
    「なんて、ステキなのでしょう。。」
    アメリカに住んでいたら、きっとこのポスターを穴があくまでじっとみつめてしまうのではないかと思います。

    日本の空の下、応援しています。

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  2. ポスターの撮影、お疲れ様でした。

    私は日本でデザイナーの端くれとして多くの撮影に立ち会って来ましたが、日本人同士でも撮影には思わぬトラブルに見舞われるものです。

    日本の広告でもあれ? とクビをしかめる着物姿がよくあるのに、これだけの大勢の着物姿を集めるだけでも相当大変だったと思います。

    ましてや日本人がひとりもいない中、日本の着物がどういったものか理解されていない外国での撮影、どれほどの大変さだったか、きっと想像以上のものだったと思います。

    このポスターを見て感動するのは、日本人の方かもしれませんね。

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  3. はじめまして。MD在住のSakiと申します。
    休日によく着物や浴衣を着て外出しております。

    Verizon Wirelessのポスター拝見しました。
    これがメトロの駅などに張られるのかと思うと
    わくわくします。 お疲れ様でした。
    そして、着物が米国人の間にもポピュラーになる
    きっかけになったら、もっと嬉しいです。

    ではまた。影ながら応援しております。

    PS.プロフィール拝見いたしましたが、
    大学&学部同じです。

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  4. 花かんざしさん、コメントありがとうございました!そして、ホームページ楽しませていただきました。また、新たな花かんざしを楽しみに、ページ伺いますね。
    やはり、髪のかんざし・・・なんとも素敵ですよね。

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  5. 登夢さん、blog見てくださっているのだなって、ジンワリ感動です。
    「銘仙」のブログを書いた時もコメントいただき、私も銘仙が大好きで、登夢さんのホームぺージを見るのを楽しみにしています。
    大先輩だと思います。これからも、よろしくお願いいたします。

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  6. 向さん、
    どちらにverizonの広告載っていました!広告見てくれただなんて、とても、とても、うれしいです。先日友人がサンフランシスコの空港で「Hiroがやったverizonの広告がいっぱい貼られていたよーーー」と、メールをくれて、私は実際に見ていないのですが、その写真を送ってくれたりして、とても感動しちゃいました。
    これからも、よろしくお願いします。
    アメリカの着物トークしましょう。
    気軽にメールもくださいね!

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