11/25/2009

大島紬の美 2.奄美大島の自然が産み出す泥染め

前回の「大島紬の美 1」の続きです。

大島紬の染めは、タンニン酸を豊富に含む染料で糸を染めていきますが、漬け込むだけでは染まりませんので、液を泡立てながら空気に触れさせ、揉みこんでは絞り、また揉みこみます。途中、石灰水に浸すことでタンニン酸を中和し染色を定着させ、その時々の色の具合を確認しながら、数十回となくこの作業を繰り返します。この繰り返しにより、糸は赤~茶褐色に染まり、色の層もどんどん深くなるのです。
テーチ木染めしたものを次は泥田で染めます。奄美大島は地層が古いため、泥のきめが細かく粒子が丸いため糸が傷つかず、また赤土の土壌で鉄分が豊富という特徴があります。テーチ木に含まれているタンニン酸と、泥の鉄分が自然の化学反応を起こし、泥田に入れて揉むようにして染めていくと色合いがみるみる黒っぽい色に変わっていきます。色合いの変化だけでなく、泥染めにより糸はしなやかになり、ツヤが出て、防虫効果や静電気防止、消臭作用、いろんなメリットがあります。さらに色素の結合力が増し、退色防止にも役立っています。自然の力を利用した素晴らしい知恵ですね。このテーチ木染めと泥染めを何度となく繰り返すことによって、泥大島の色に深みが増していくわけです。
大島紬の歴史を遡ると早くも奈良時代には東大寺や正倉院の献物帳に「南島から褐色紬が献上された」との記録が残っています。この褐色紬こそ、梅染め、桃染めという古代染色の技法が奄美大島に伝えられ、自生するテーチ木、 チン木、フク木などの草木を用いて染色されたもので、現在の泥大島の元祖ではないかと推測されています。
まさに奄美大島の大自然を活かしきった泥大島。ニューヨークで泥大島の着物を着たら、どのように迎えられるか楽しみです。

0 件のコメント:

コメントを投稿