12/05/2009

大島紬の美 3. 大島紬は「紬」ではない

最近、大島紬の変遷について少し夢中になっています。

明治維新と言う時代の大変革期の流れをダイレクトに職人が受け止め共鳴して後世へとつなげていく技が生まれていく変遷を、本を読んでいるだけでもワクワクしました。先人たちの知恵と技の結晶の大島紬という着物の魅力は、本当に知れば知るほど面白いです。

ちょっと衝撃なのが、大島紬は「紬」ではないというお話を先日ある本を読んでいて知りました。
「紬ではない」と言うのは、紬糸を使わなくなったためでした。

大島紬は献上品として薩摩藩に納められた江戸時代から奄美大島で作られた紬糸を用い、いざり機(地機)を用いて織られていました。
しかし、明治維新後、上納の必要がなくなり、全国的な大ヒット商品となり従来のいざり機(地機)では生産が追いつかなくなり、そこで奄美大島の織人は大決心をして、いざり機から高機(一般的な機織)へ移行することにしました。
高機は生産性が上がる一方で、糸に負担がかかります。従来使っていた節くれ立った紬糸では効率良く上手く織れないということで、紬糸から滑らかな生糸に置き換わっていきました。

ただ、大島紬という名前が当時からポピュラーだったので、今に至るまで大島紬という名前が使われています。大島紬は生産性の追求で紬の風合いを失った一方で、滑らかな生糸を使うことで世界にも稀にみる精緻な絣を実現していきます。
そのお話は次回にしますね。

*参考までに
「紬」とは、太くて節の多い玉繭から紡いだ手撚りの玉糸やくず繭と呼ばれる変型した繭から紡いだ紬糸を用いて織ったものを言います。表面に小さなこぶがあり、独特の風合いを持った織物です。紬(紡ぐ)と言う名の通り、真綿 (繭を煮て柔らかくなったところを薄く引き伸ばし重ねフェルト状にしたもの) を人がつむいで糸にしたものを使います。紡いだ糸は細い繊維が絡み合い、繊維と繊維の間に空気が絡み合うため、非常に軽くそしてなんととても暖かいです。冬の着物として、その代表格である結城紬が私は大好きです。元々野良着だったのですが、贅沢禁止令も発令された江戸時代には、絹なのに絹らしい光沢を持たず「遠目からは木綿に見え」、さりげなく趣味の良さを主張できる紬は、粋な着物として人気を博していきました。

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