4/24/2009

ルーズベルトアイランドに咲く桜

私が住んでいるのは、マンハッタンのすぐ隣ルーズベルトアイランドと言う小さな島です。
そこにはCherry Tree Walkと呼ばれる桜並木があります。この桜は日本から贈られたものです。
またクイーンズボロ橋近くの未だ咲いていない並木は八重桜で、もうしばらくしたら濃い赤の桜を咲かせるそうです。
写真は、今週の日曜日の桜を見に行ったときのものです。桜を見物している人たちは、日本人の人を普段より多く見かけました。
まるで日本からの便りのように感じられます。

この島は、ミステリアスな一面も持っています。マンハッタンの中心ミッドタウンから地下鉄でたった一駅のところにあるのですが、マンハッタンとは橋でつながっていません。そして、島の先端には、昔隔離施設だったという病院の廃墟があります。そして、この建物を保存しようと言う運動があるそうです。
この建物は「SMALLPOX HOSPITAL」と書いてありました。1856年に建てられ1950年まで実際に使われていました。この建物を建てた人は、ジェームス・レンウィックJrと言って、セントパトリック教会を建てた人です。

病院からも、この桜は見えたのかな?見えたらいいのになって思いました。



アパートの共用の庭からマンハッタンを臨む
イーストリバー沿いの桜が綺麗。

4/12/2009

黄八丈

着物の楽しみは「着ること」が第一ですが、やはり、日本の各地方の昔からの生活、風俗を映し出す鏡のように感じる着物に出会うことも一つの楽しみです。
まさに黄八丈は、その島の生活の厳しさ、また火山帯である自然の厳しさと南国風土の大らかさを兼ね備えた中で作られた素晴らしい着物だと思います。とても興味深い着物です。
写真の「黄八丈」と書いてあるこの大きな本は、昭和50年に「参万円」で限定1500部発売された本です。本の箱を開くと、更に本をカバーしている箱があって、その箱を開くとやっと本のページを開くことが出来ます。
そして、なんと実際の黄八丈の裂地も本に貼ってあります。ページに貼られた布地にはセロハン紙で保護されていました。(こちらの写真が実際の裂地)
黄八丈の美しい写真がたくさんのページに登場します。
そして、私がとても憧れる白洲正子が、こうした黄八丈に袖を通している姿が目に浮かびます。私が黄八丈に興味を持ち始めたのは、白洲正子が黄八丈を着ている姿の写真を見てからでした。決して華美ではありませんが、縞柄の多彩さに鮮烈な印象を持ちました。
多くの人が愛用できるに至ったのは、明治20年から30年代頃です。
その前と言うか江戸時代までさかのぼりますが、お上への貢納品でした。

八丈島というその島の歴史についても本には書いてありました。ニューヨークという大都市に今自分がいても少し共鳴できるところがあって、流人の島と言われた八丈島の話にとても陶酔してしまいました。 本には「島の人々は、漂着人や流人をあたたかく迎え入れ」また、「流人の中には、武士や僧侶のような教養の高い者もあり、また諸種技芸にたけた人々も多かったため、国地からの文化の伝達者として島民に貢献した例もかなりあったのである。」と書いてありました。
逆にいろんな分野の人が島の中に集まったのではないのかと思いました。
そして、ある意味、多彩な分野の人たちが集った島だからこそ新たに生みだされるものがあるのと同じに、各国からいろんな分野に夢や希望を持って世界舞台の窓口としてニューヨークに集まりアートからビジネス、そしてファッション、各々の夢が新しい形として生み出されていく・・・ほんの少しですがニューヨークと重なるような気がしました。
本書の「あとがき」に著者の浦野はこう書いています。
「本土遙かに南、黒潮の洗う、輝く太陽に明るさの溢れる八丈島、そしてその反面に、鳥もかよわず便りさえもとだえがちという流人の島八丈、この極端な明暗を合わせもつ島を発祥地とする黄八丈は、かつては貢納品として、また唯一の商品として島の生活を支えてきた大切なものだったのです。流人の島の暗さを忘れ去ろうとする島民の希いと期待をこめて」
「島民の願いと期待をこめて」、そこで作られた黄八丈のように、私もニューヨークで願いと期待を胸に夢を形にできたらいいなって思うし、形になった夢が人に伝えていけるものになることが出来たらと思いました。



本を開けばページいっぱいの黄八丈

4/05/2009

マンハッタンの片隅から"Wrestling the Silk"


今日ニューヨークタイムズに着付け教室の記事が載りました。

1ヶ月半前に、コロンビア大学のジャーナリストを目指す学生さんが「取材をしたい」とのことで電話がありました。私は英語がまだまだ未熟なので、詳しい内容は兎に角「send me an Email」と言ってみました。直ぐにメールが来ました。地元の学生さんが興味を持ってくれたなんてとてもうれしくて直ぐにOKしました。
そして、3月のはじめに取材に来て下さいました。

着付け教室ではどういうことを教えているかを伝えるために、お客様への着付けの技術を習得しているお稽古を受けている人と、自分で着物が着られるようになることを身につけるお稽古に通ってくださっている二つのパターンを学生さんに見せようと思いました。その取材の稽古の様子として生徒様お二人がご協力いただけることになりました。

取材当日、先ず初めに教室に現れたのが、ニューヨークタイムズのフォトグラファーMasuikeさんでした。取材の申し込みをしてきたコロンビア大学の学生さんが現れる前なので、かなり驚きました。そして、コロンビア大学のジャーナリストを目指している学生さんEmilyさんと、Emilyさんの相方でビデオカメラの大きな機材をもって現れたのが、Andreasさんでした。そして、私の教室に通ってくださっている、今回取材にご協力してくださる生徒さん二人が現れ、とても賑やかになり、あっという間に4-5時間ほどの取材が過ぎて行きました。
とても楽しい取材でした。

取材を受けた時点では、記事が新聞に載るか載らないかは分からなかったのですが、
生徒様が協力してくれたことや、地元の学生さんが私のwebのページに気が付いてくれたこと、そしてニューヨークタイムズが興味を持ってくれたこと・・・、この取材を通して、いろんな出会いや希望にむかって皆で一つの心になれたこと・・・素晴らしいことだと思いました。
そして、取材のあとにEmilyさんからメールが来ていて「私は今とてもエキサイティングしている」と書いてありました。

そして、今日、ニューヨークタイムズに着付け教室の記事が載りました。
面白いタイトルです「シルクと格闘する "Wrestling the Silk"」
記事には、着付け教室の「Kimono Hiro in NY」とは書いてなくて、「Hiromi Asai」(浅井広海)と私のフルネームが書いてありました。宣伝広告ではないので、特に問合せ先も書いてなく、純粋にニューヨークでシルクと格闘している着物にまつわる世界観が書いてありました。
素晴らしい記事だと思いました。
通ってくださった生徒様皆様に心から感謝しています。

私の教室は、マンハッタンの一部分ですが、ルーズベルトアイランドという小さな離島です。マンハッタンの片隅で抱いた日本から持ってきた夢が、こうしてニューヨークタイムズの記事として形になって、とてもうれしかったです。
Emilyさん、ルーズベルト島の私の小さな教室に隠された夢に気が付いてくれて、ありがとう。

ニューヨークタイムズの記事
Wrestling the Silk (The New York Times April 5, 2009)