8/23/2009

アメリカの撮影現場、伝えること難しい


この写真は、3月に参加したアメリカの最大手携帯電話会社Verizon Wireless撮影現場です。
先日、ある人から撮影現場の写真がいくつか送られてきました。自分の仕事現場の写真を見るのは初めてで、嬉しかったです。

ここで撮影したVerizonWirelessの広告は、今では、新聞The Wall Street Journalをはじめとして、各雑誌、またサンフランシスコ空港やニューヨークのニューアーク空港でポスターがでているそうです。
友人から、「ポスターが出ていたよー」と、写真付きでメールを度々いただき、とても嬉しく思いました。
この撮影では、私のニューヨークの着付け教室に通ってくださっていた生徒様の一人が手伝ってくださいました。生徒様は、撮影後直ぐに日本にご帰国されてしまいましたが、日本では銀座のウェディングサロンで着付けの仕事が決まったなど、朗報がありました。

そして、その写真を見ながら、撮影現場でのことを思い出してしまいました。
この撮影ではスタッフ全員がアメリカ人なので、着物の「着付け」という技術の概念がないためなのか「着付け」をフィッティング程度にしか認識されていませんでした。撮影前にプロデューサーに「着付け」について説明はしていましたが、それでも、15人ほどの着付けを「30分以内に済ませて欲しい」など現場で言われました。「そんなこと無理」と言いながらも、兎に角、着物の着付けをしながら、出演の俳優さんたちには、着付けが終わった順にスタジオに走って駆け込んでいただきました。かなりドタバタな撮影現場でした。

そして、撮影が終わりホッとして、もう広告になるのを待つだけと思ったら、なんと、出来上がったポスターが編集の過程で、一部の着付けが画像ソフトで鏡像という処理(鏡に映った状態)、すなわち衿の合わせが左右逆になって編集をされてしまったというハプニングが起こりました。
出来上がったポスターを見ていてはじめは何だか変だなと思ったのですが、しばらくして急にアッと気がつきました。慌ててプロデューサーにメールをすると、30分以内に電話がかかってきて、「こんな小さなこと誰も気がつかないわよ」と言われてしまいました。そこで、着付けというのが歴とした職業技術として存在し、正しい着付けの技術を編集作業で変えられることによって、誤った着物の着方がポスターになるのは、とてもシリアスな問題であると言うことを繰り返し説明しました。そして衿が逆になっていた振袖は、万が一着付けが間違っていると柄が出てこないため、自分が間違った着付けをしていないことは物理的に証明出来ることなどを説明した上で、先ず、編集によって衿の左右を逆にされてしまったことをプロデューサーに理解していただき、正しい衿合わせがどんなに重要であるかの説明をいたしました。真剣にうったえる私に、プロデューサーも問題をとても真摯に受け止めてくれて、スポンサーに修整の時間をいただくように御願いしてくれました。最初、スポンサーは、「既に印刷作業に入っているため、今から修整すれば、広告の告知の日をずらさないといけないなど多額の損失がでる恐れがあるため、修整は難しい」と取り合ってくれなかったようです。それでも、プロデューサーがスポンサーに直接説明に伺ってくれて、編集作業によって変えられた部分に関し修整の時間をいただけることになりました。
その後、私も、参加してくれたスタッフ皆様も、徹夜で修正作業をやりました。

実はプロデューサーにメールを書いたときに、既に出来上がったポスターなので修整はしていただけないと諦めていました。ここはアメリカだし、「こんな小さなこと誰も気がつかない」で話を終わらされてしまうかと思っていました。ここまで真剣に問題視してくれて、対応くれたことはまるで奇跡のように感動しました。
編集の過程で鏡像にされてしまうとは想像も出来なかったとは言え、私が英語を流ちょうには話せなかったので、アメリカ人の視点にたって日本の着物について伝えなくてはいけないことを伝えきれていなかったことを痛感しました。
いろいろあったのに最後は、「本当にありがとう」とプロデューサーさんが私に言ってくれました。
プロデューサーさんのほうがスポンサーなどに怒られて大変だったと思うのに、ジンワリ感動が胸に込み上げてきました。
そして、こうした人たちと、ご一緒に仕事が出来た巡り合わせに感謝しました。
その時の撮影現場の写真が、今頃になってですが届き、もう5ヶ月もたちますが、3月での撮影現場のこと、その後の修整のアクシデントのことなど、思い出してしまいました。
撮影現場での写真をいくつか添付します。
素晴らしい方たちとご一緒出来た時間でした。

*全ての着物を準備、そして、着付けて、現場で走って・・・。
ブレた写真だけど、撮影現場の自分の姿を見るのは初めてで、とても良い記念になりました。

8/18/2009

NYメトロポリタン美術館の着物


以前、誰かからニューヨークの「メトロポリタン美術館の着物コレクションは凄いよ」と聞いたので、お勉強だと思って見に行ったら、この一点だけでした。

コスチュームだけを扱った展示コーナーもありますが、そちらは閉館中。
でも、美術館の人に聞いたらそちらに展示されているコスチュームは西洋ドレスが中心のようでした。

お土産売り場で着物の本を一冊買ってきました。
本はJAPANESE Kimono DESIGNS 著者 Shoujiro Nomura。
こちらの本に、メトロポリタン美術館にあった着物と似たものが載っていました。本には、1804-1818年のものと記されていました。
メトロポリタンで見た着物も同じ年代の着物かな?
着物の説明書きを読んでくるのを忘れてしまいました。なので、年代もチェックできませんでした。とても期待して行ったので「あれ?この一点だけかしら?」と思っているうちに日本の展示がされているコーナーは見終わってしまいました。
でも、今度メトロポリタン美術館に行くときは、説明書きもノートに写してこようと思います。

やはり、日本の展示しているコーナーでは、北斎、広重がとても人気がありますね。良いものは、時を超え、土地を越えなのでしょうか・・・。

8/15/2009

夏には麻の小千谷縮


今回の夏、小千谷縮がニューヨークの家に届き、密かに夏を楽しめる贈り物のような存在です。
袖を通して、「こんなに清涼感を感じる着物があるなんて」と思いました。
ニューヨークは日本より湿度が低いとは言っても、雨のあとは少しモアとした湿っけがある暑さを感じます。今年は雨が多いです。なので、この爽やかな着心地の麻の着物が絽や紗よりお気に入りになっていました。
天然の苧麻(ちょま)から紡いだ細糸だけを使った麻織物が小千谷縮です。
私の小千谷縮のあまりぎれ(仕立ての後に余った布(余り裂・あまりぎれ))には、製造元の刻印とともに小千谷縮についての説明が丁寧に書いてありました。
「緯糸に強度の撚りをかけ丹念に織り上げ、入念に”湯もみ”をすることによって独特のしぼを生じさせて、名品「小千谷縮」となります。何百年も変わらぬ風合いを持ち続け、そのさらさらとした肌触りと清涼感は夏の着物としてはもちろんのこと、シャツ、ブラウスなどの洋服や、寝装品としてもご愛用いただいております」
寝装品・・・確かに、寝苦しい熱帯夜には良いのかもしれないですね。

着物の柄は大好きな縞、キリッとする感じがします。
そして、箪笥に眠っていた麻の帯・・・、なんだか着物ととっても相性が良い。
これだけ、相性の良い着物と帯がそろうと、帯揚げ帯締めが・・・なんだかつけたくなくなる。
思い切って、逆に個性的に絞りの帯揚げに羽矢の帯締めをしてみました。不思議に、なんだか面白く良いです。
ザックリと着て、着心地の良さがそのまま普段着の装いとして反映されるって、粋な感じがして、こうした着物とも身近に付き合えるのが夏の着物の少し贅沢な楽しみなのかもと思いました。

8/11/2009

帯結「貝の口」一つにしてもPart2

前回の"帯結「貝の口」一つにしても"のPart2です。

駒込和装学院の小田嶋先生から、前回の私の悩み、「貝の口」を結ぶ時、「手先が左右どちらにでるのか?」その疑問について更にご回答をいただきました。

「帯を巻く方向は、左方向に巻きつけていくのが関東巻(歌舞伎巻)、右方向が関西巻(太秦巻)と言うようです。
歌舞伎役者の人は左巻きに人が多く、太秦巻は時代劇の撮影のある、あの「太秦」からきているこちらは京都という場所柄か右巻きが主流と言うより左巻きはほとんど存在しないようです だから帯の右巻きを「太秦巻」と呼んでいるようです。
と言う事で巻き方によって、男結びの手先が左にきたり右にきたりします。
今度歌舞伎や時代劇を見る時、チェック!!!」

帯結「貝の口」一つにしても、面白い発見がいっぱいあります。
前回は、「教科書の読み取り方の違いだけか?」と不思議にそのまま納得してしまった自分がお恥ずかしいです。

早速、歌舞伎の本を開きます。
時代劇・・・久しぶりに日本の映画を見ようと思いました。

そして、もう少し、私も踏み込んで勉強しないと思いました。
小田嶋先生から解答をいただき、更に、どのように着物を学び伝えていくかを教わったように思います。

日本はお盆に入られるのですね。
先生、ありがとうございました。

8/10/2009

帯結「貝の口」一つにしても

こちらの写真は、私の着付け教室に飾っている、蘭の花です。
近所の花屋さんで買ってきました。蘭にもいっぱい種類があるのですね。詳しくは分からないのですが、この蘭はとても丈夫で、2週間に一度しか水を与えなくていいみたいです。フラワーアレンジメントしている方からご指導いただきました。

昨日、一昨日と悩んでいたこと。男の方の角帯、女の方の浴衣などで半幅帯などで結ぶ「貝の口」の結び方。
(貝の口は、江戸時代の町人、商人の帯結びです)
駒込和装学院の教科書を再度読み直していたら、貝の口の結びが、て先が背中心から左に出ていて「男結び」と書いてありました。他の本、別冊家庭画報「男のきもの着こなし入門」指導・笹島寿美先生や、「銀座もとじの男のきもの」監修・泉二弘明などでは、手先が背中心から右に出ていました。
「貝の口」と「男結び」は違うのだろうか?・・・ネットで調べると、貝の口の結びで男女の違いを、「手先を半分に折るのが男で、手先を半分に折らないのが女」と載っていました(でも男女とも背中心から手先が右に出ていました)。
「きもの用語大辞典」装道きもの学院編によると、「男帯の結び方、貝の口3種」と絵が載っていて手先が左側に出ており、手先の半分に折った輪が上になっていました。
本によってもいろいろで、小さな疑問がどんどん深みにはまりそうになったので、駒込和装学院の先生に聞いてみました。教科書での、背中心から手先が左に出ているように載っている絵図は、本人が前で結んだ状態で、それを後ろに持ってくると背中心の右に手先が出るようになっているそうです。教科書の絵図からではそこまで読み取ることが出来なくて、聞いて良かったと思いました。
こんな小さな疑問にも丁寧に答えてくれた先生に大変感謝いたしました。
不思議で、日本では疑問に思わないでいたこと、きっと、貝の口の帯結び一つにしても、日本舞踊のお稽古場などに行けば見慣れた風景だったのでしょう。こちらニューヨークでの生活が1年過ぎると、とても小さなことでも、疑問に思うと解答を探そうとしてしまいます。本当は、こういうことに解答を求めないでいるほうが自然なのかもしれないのですね。

2ヶ月前に駒込和装学院の連鎖教室として継続の手続きをとりました。
そして海外での着付け教室の運営について、駒込和装学院からご指導をいただきました。
指導いただいた内容を、着付け教室のカリキュラムに反映し、先週の土曜日にホームページを更新しました。
今でも、先生方たちに沢山のご指導をいただき、とても嬉しく思います。
そして、このような小さな疑問にも丁寧に返答いただけて、私もそのお気持ちを失わないようにしていたいと思いました。帯結び「貝の口」一つにしても・・・ニューヨークの生徒様に伝えられること私で出来る限りのことしていきたいと思いました。
教室のホームページhttp://www.kimonohiro.com/main.html