10/30/2010

ニューヨークの秋に思うこと

ニューヨークでの紅葉も綺麗です。
夏が終わるとアッという間に冬になってしまうので、秋を感じることがなかったのですが、一昨日は15度から20度ぐらいに気温も上がり、日本の秋のような気候を感じておりました。
とても過ごしやすい日が続きました。

イギリスの新聞テレグラフに10月23日付けで、「着物をつくることその物が死にかけているアートである」との内容の記事が出ました。http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/8082875/Kimono-making-in-Japan-is-a-dying-art.html
日本国内での、着物の作り手が高齢化していることや後継者がいないことへの危惧が書いてありました。

次世代へと繋げる、継承して行くにはどうしたらいいのだろうと思います。

私は、アメリカの2か所の美術館で着物のワークショップや、ウォールストリートのロータリークラブでスピーチをしたことがあります。着物が世界に認められるファッションであることが大切なのではないのかと思っています。
危惧されていることへの解決策に繋がっていることなのか分らないのですが、ニューヨークから世界に向けて着物を発信しつづけたいと思いました。

ユニクロの創業者の柳井さんが書いた本のタイトルが目に飛び込んできました。
「一勝九敗」
あれだけの方でも、九敗あっての一勝なのだと心を打たれました。
私は、九九敗して一勝を得るぐらいの心持ちで頑張って行きたいと思いました。

10/10/2010

素適な七宝焼を見て思ったこと

私の友人のTomoさんが、"Japanese young contemporary craft & objects"と言う展示会に七宝焼のジュエリーを出品していました。
展示会はNolita(リトルイタリーの北の方)にある家具屋さん(the Red threads)の中で開かれていました。オープニングレセプションにお誘いいただいたので、伺いました。

Tomoさんの作る七宝焼のジュエリーはとても素適で、ネックレスとして使うのもいいのですが、帯留めにも似合いそうだと思いました。

七宝焼は、江戸時代前、日本では刀装具や釘隠し、襖の引き手などの装飾に使われていました。七宝焼という名称は、仏教の経典七つの宝物に匹敵するほどに美しいことから付けられたのだそうです。
写真のように、Tomoさんの作った七宝焼は色その物が輝きを発しているように美しかったです。日本の伝統技法が、現在のジュエリーとしての表現として作られているのは、とても素適だと思いました。

やはり、帯留めにしたいと思って調べていたら、明治や昭和初期にアールヌーボーなどの影響でジュエリー感覚で帯留めが流行した時に、七宝焼の帯留めも多く作られていたようです。
帯留めの歴史的背景も七宝焼の発展の背景である、刀の装飾という共通点があります。

帯留めは、江戸時代後期に芸者さんたちが、男の根付や、刀を留める"目貫"を、男との契りの証として帯に付けたことから始まっています。
明治以降、廃刀令が公布され、刀の装飾品を作っていた職人さんたちの仕事が少なくなったため、着物のアクセサリーとして帯留めを製作したのだそうです。

七宝焼で帯留めを、今風に表現できたら、着物姿も更に素適になるのだろうなって思いました。

*Tomoさんの作品が見られるwebサイトはこちらです。http://www.etsy.com/shop/tomodesigns

展示会場の家具屋さん(the Red threads)です。

10/03/2010

秋の読書

NYに紀伊国屋書店があります。
出かけの帰りの途中に書店があったので、久しぶりによってみました。
自分の必要とする情報を手早く得るにはインターネットの活用は必至な現在ですが、
本屋さんでいろんな情報が、物として入ってくることのほうが、いろんな気づきや閃きなどがあるものだと思いました。

英語の勉強に役立つ本を探していたのですが、結局、能や歌舞伎や文楽の本を買ってしまいました。英語の本がおいてあるコーナーに辿り着く前に、脱線です。

日本の伝統芸能は、知れば知るほど新しい発見があるものですね。多分、日本にいた時は、疑問にも思わなかった当たり前な風景(国立劇場のクロマツの群生などなど)も、本を読んでみると、一つ一つに意味があることに気がつきます。
劇場と自分に距離が出来て、伝統芸能を違った角度から見る機会でもあり、そうしたことも世界観が広がる楽しみ方の一つなのかなって思いました。

歌舞伎衣裳についてですが、約束事として、衣裳の変化は状況の変化を表します。
「ぶっ返り」という手法があります(なんとも大胆な表現ですね・・・)。仕付け糸を抜くと、衣裳の上半身が下に垂れて、全く別の衣裳に変わるという仕掛けです。
本心や本性を現すときに使われます。ぶっ返りの衣裳変化は特に「見顕し」と言う演出の大切な一役をかっているのですね。
舞踊での衣裳変化である「引き抜き」の手法と意味とは違うと私は解釈しておりますが、本によっては、「ぶっ返り」を「引き抜き」の一部としている本もあります。

歌舞伎の衣装演出は物語の進行上、大切な要素であり、とても憧れる世界です。
秋の読書で、憧れの世界に心が戻れた感じです。

この写真は、今はない歌舞伎座の衣裳部屋です。篠山紀信さんの「ザ 歌舞伎座」と言う写真集からです。