5/09/2011

オランダのゴッホ美術館で着物デモストレーション

アムステルダムにある国立ヴァン・ゴッホ美術館で「フライデーナイト」と言うイベントがあり、先月の4月15日に春の祭典が開かれました。美術館から昨年の10月にご依頼をいただき、その日、着物デモストレーションを行いました。
イベントの名前「フライデーナイト」と言う通り、金曜日の夜に開かれました。
日本からお越しになっている假屋崎省吾様の生け花のワークショップが6時30分から7時30分で、私の着物デモストレーションは7時45分から8時20分。
私は、生け花のワークショップの後に行わせていただいたので、假屋崎様が生けた花に囲まれて着物のお話しをさせていただける機会に恵まれました。写真は、その様子です。
沢山の方たちにご来場戴きました。

着物デモストレーションは2部構成にいたしました。7時45分〜8時05分までスライドを使って着物の1000年の変遷をお話しし、そして十二単の着付けについてのデモストレーションを行います。8時10分〜8時20分までは、着物ファッションショーです。

今回のブログでは、前半の十二単の着付けについてデモストレーションしたことについて、書き留めます。

今回、十二単の着付けのデモストレーションで登場する十二単は、皇太子妃雅子殿下の婚礼の時の衣装を再現したものです。

十二単は、重ねの色目が重要です。婚礼の時は6月だったので、重ねの色目は「花橘」、打ち衣(外側)から単衣(内側)にむかって、濃い山吹色、山吹色、白色、青色、薄い青色となります。写真で見ての通り、緑色に見えますが、平安時代「緑」は「青」に分類されておりました。
色彩についての概念ですが、単色の概念と言うより、重ねの色目(グラデーション)により、一つの色の概念とされておりました。
色は植物で表され、今回で言うと「花橘」と言う色合わせです。

ご来場いただいているお客様たちの中に、十二単自体を知っている人が少ないかもしれない上に、十二単の「重ねの色目」を説明して伝えることが出来るのか不安でしたが、植物から色彩感覚を得る感性は多くの方々から共感をいただきました。「花の都であるオランダだな」って思いました。

写真 Linda Koleさんより
今回の十二単は、青梅きもの博物館から出ております。また、十二単の着付け師(衣紋者役)として、着付けをご披露してくれるのは、私の恩師である駒込和装学院の小田嶋洋子先生です。写真はその様子です。
通常二人で御方様をお着付けいたしますが、今回は私は補佐として、小田嶋先生に一人二役していただきました。
写真を見ていただくと分かりますが、小田嶋先生の着付けをする時の所作が美しく静止画になった時に鮮明な先生のお姿の美しさに驚きました。

十二単の着付け(五衣から表衣)までを披露いたしました。表衣(一番外側の着物)の着付けが済むと、十二単の御方様役のモデルになってくれた人の後ろに小田嶋先生が正座をしてしまいました。
先生に「立ち上がってください」と何度となく合図をしましたが、十二単の前には立つことが出来ないご様子で、それだけ心が入って着付けをしていることが伝わりました。
そして、最後に小田嶋先生が、立ち上がってお客様の前でお辞儀すると、強い拍手が会場から沸き起こりました。

着物は人様が着てこそ存在し、着る方への敬意、「着付け」に心が自然と入っていくこと、着物を作る人や、着物そのものに慈しみの心が宿れば自然と備わる美しい着付けの所作だと思います。
先生の着付けはただ技術だけを披露するのではなく、最も大切な着付けの「心」をオランダで伝えていただいたように思います。

そして、先生のお姿に、まだまだ至らない未熟な自分であることを痛感いたしました。
師は一生と言います。本当に素晴らしい恩師に恵まれていると思います。
今回のお話しを快くお引き受け戴き、日本から十二単の着付けを披露するためにオランダに来てくださいました。

何かを乗り越えるたびに気づきや新たな発見があります。初心に戻ると言うより、乗り越えた先には新たなスタートが用意されていると思いました。
オランダのゴッホ美術館での着物デモストレーションを行った翌日にはニューヨークに戻りました。
オランダで小田嶋先生と再会し、私は着物への深い慈しみの心を取り戻し、更なる心持ちで着物のことを世界に伝えたいと思いました。今、気持ちを新たにニューヨークでの仕事を頑張っています。

十二単をご提供いただきました青梅きもの博物館の鈴木先生、感謝の言葉は言い尽くせません。ありがとうございました。
着物を「世界に伝えること」その一歩を踏み出していると思います。

こちらは、当日のパンフレット表紙です。





1 件のコメント:

  1. これも素晴らしい着物のデモンストレーションだったようですね。ブログもとてもよく会場の描写とHiroさんの伝えたい心と感謝が響いていて、とても微笑ましく読ませていただきました。時間を戻せるのなら、戻していってみたい気持ちでした。

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