9/05/2013

根津昌平「きもの語り」-鏡を見ない 2

前回のブログの続きとなりますが、着付師、根津昌平「きもの語り」という本に書かれている。
「楽屋で俳優さんの着付けが終わって、その人が鏡を見ないでスッと楽屋から出て行くようになれば一人前なんです。」

この根津さんの一言は、着付けの仕事をしていて、何度も私も思います。

違うシチュエーションではありますが、着付けをしている最中に、お客様が片時も目を離さずに着付けの進行具合を見ていたり、お客様が口をはさんだりしてくると(ただ単なる質問の時もありますが)「この着付けに納得していないのかな」と思うこともあります。

私の場合、着付けのご依頼で伺うお客様は、はじめてお会いする方が多いので、鏡を見ないでスッとお出かけになってくれると言うほど信頼関係はありませんので、着付けが完了すると鏡で確認していただきます。

お客様が鏡を見直さない、着物を直そうと着物を触れないでいると、とても良い仕事が出来たと思います。
自分がどんなに上手く着付けが出来たと思っても、当たり前のことですが、着物を着ているお客様ご本人の納得がいく着付けをしないと、良い仕事にはならないと言うことにも通じていると思います。

根津さんの本に書かれている中で、着物スタイリストとして私が指針にしているところだけを抜粋してしまいましたが、語り切れない、ブログでは書き切れないので、着付け師を目指している人や、また着物を着られる機会が多い方には、おすすめの本です。

本の締めに載っている根津さんの語りには、
「自分という人間は世界に一人しかいません。同じ顔や体型を持っている人なんていない。きものを制服のように着たって、面白くも美しくもありません。それぞれの個性を生かして着てほしい。」(「きもの語り」より抜粋)

練習台のマネキン人形に着付けをしている訳ではないので、個のストーリーが汲める着付けと言う立ち位置を大切にしていたいです。

写真は、「きもの語り」の本に載っているもの。
根津さんが女優さんに着付けをしている写真を見ていると、神経が研ぎすまされるような感覚を得るほど感動します。

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