10/03/2013

重要文化財の京友禅

前回、ニューヨークタイムズに京友禅染についての記事が載ったことをブログに書かせていただきました。

友禅について、もう少し触れておきたいので、素晴らしい着物を紹介します。 
約2年前の2011年10月29日〜12月11日まで、京都文化博物館で「京の小袖—デザインにみる日本のエレガンス」と言う展覧会がありました。 
大変貴重な江戸時代を中心とした小袖180もの作品が展示されました。

展示された1つ1つに詳細の解説が付いている本展覧会用に作られた本を、この展覧会を見に行った知人がアメリカの私のところに本を送ってくださいました。 写真は、本の表紙です。

本を見ているだけでも鳥肌が立つほどの感動があり、あまりに凄くて「直視出来ただろうか?」と眩しいほどに輝いている作品ぞろいでした。今後、一同にこれだけの小袖を見る機会に恵まれることがあるのかと思うと、実際に展覧会で見ることが出来なくて本当に残念に思いました。
この写真の作品は、重要文化財の束熨斗文様振袖です。 
–作品の詳細– 
紅紋縮緬地/絞り染め・友禅染・摺匹田・刺繍・摺箔 
時代は、江戸時代後期 
所蔵者は、友禅史会 

着物は劣化が早いため、現存する重要文化財は数点とうかがっております。こちらは、その中の1つです。 

この小袖が今の所蔵者である友禅史会に渡った経緯が興味深かったです。以下、本からの引用です。 
「本作品は、戦前に京都で活躍していた古美術商であり研究家でもあった野村正次郎が手元で大切に保管する品であったという。大正10年(1921)に来日したロックフェラー二世の篤志がきっかけで、野村から現在の所蔵者である友禅史会へ寄贈された。」 

写真の小袖以外にも、本展覧会ではロックフェラー二世の篤志によって寄贈されたものが多く展示されていたことが作品リストからも分かります。 
寄贈の時にロックフェラー二世は「愛する京都に寄贈する」と言ったそうです。小袖を贈る形で京都に残してくれたことは、情愛深い話だと思いました。そして、アメリカに持ち帰ることが出来ないほどに、日本から離れてはいけないような素晴らしい小袖だったとも思います。 

着物は日本にあってこそ、と言う考え方にも思える言葉になってしまい、私がしている仕事と逆方向のようにもとらえられてしまいますが、着物が「芸術」や「ファッション」になったときに、矢印が世界へと向くのではないのかと常日ごろから思っております。
既に、世界のファッションデザイナーさんたちが着物にインスピレーションを受けて洋服の中にも生地やデザインや形状などが一部浸透しています。 

この本に寄稿している切畑健の「鑑賞にあたって」の文中最後に、このように書いてあります。以下、抜粋。 
「各国各地の民族衣裳は、その地域と密接な関係をしめしつつ、意匠や技術で十分に堪能させますが、それらを日本のキモノ、特にこの展覧会でご覧にいれるこれらとはどこかに一線が存在すると考えられてなりませんでした。しかし民族衣裳に代わる言葉も思いつかないでいました。ところが、1993年のことです。アメリカ、ロサンゼルスの州立博物館で、江戸時代の小袖展が開催されて、日本からほぼ160領の小袖が運ばれました。その展覧会名が「When Art Became Fashion」とあり、感動しました。小袖美の原点は「Art」であるというわけです。」 

この切畑健の言葉に、着物を世界へと提案したいと思った時の初心を思い出します。

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