8/30/2016

新プロジェクト

今年の4月に弊社 Mode & Classic LLC は投資を得ました。
数年はニューヨークファッションウィークに出られるほどの投資額でした。

前回(今年の2月)のニューヨークファッションウィークは潜在的な着物の素晴らしさをファッションとしての大舞台に出すことの試みとしてはショーとして成功できたと思います。メディアへの露出も大きくアメリカの主要雑誌ニューズウィークや4大ネットワークNBCニュースからの取材を受け報道されました。

ただ現実はそんなに甘くありませんでした。着物は一着も売れませんでした。売れたのはドレス一着だけでした。

日本各地の着物の生地を作っている職人さんたちの高齢化や工場の破産は続いています。このまま着物でニューヨークファッションウィークに出展し続けるのは、何か歯車が噛み合わなくなっていく危機感を持ったのはニューヨークファッションウィークに実際に出て痛感したことでした。このままの状態で続けることではないと嫌でも分かったのです。

今回新たに立ち上げたプロジェクトは、弊社の商品開発として、着物の生地を織っている職人さんや染めをしている職人さんに直接ご依頼し作っていただいています。しかし、形状の表現は、洋服と洋装のアクセサリー類を作ることにしました。

前回のプロジェクトでは、製造問屋さんと私は組みましたが、今回のプロジェクトは職人さんに直接ご依頼する形をとることを望みました。当然のことですが、問屋さんから職人さんの情報はいただけませんでした。

ゼロ「0」からのスタートでした。
着物の職人さんの情報を入手しようと人を介していると、時に私のような(ご依頼人)が職人さんと直接つながることを望まない人たちがいることもあるので、それを恐れ水面下で動き始めました。
でも、全く伝がありません。

私には2000人近いフレンズがフェースブックにいました。そこで問屋さんとご一緒に写真に写っている人を検索して、その人のフェースブックを吟味し、職人さんではないかと思える人を片っ端からダイレクトに声をかけて行きました。
自分の直感に頼っていたので実際に現場で着物を作る職人さんであるかの確証などありません。正直フェースブックにアップしている内容だけでは問屋さんと職人さんの違いが分かりづらいところもありました。

声をかけて行った時に、私から声がかかったことを喜んでくださる職人さんもいれば、ひどい断り方をしてくる職人さんもいました。ご相談内容を言う前から「問屋を通してくれ」とも言われたこともありました。でも、断られることが当たり前だと思っていたので、逆に、受け入れてくれる職人さんがいることが、私には特別に思いました。

諦めずに声をかけていくと、私が置かれている状況を察してくれたのか、何も言わなくても「水面下で動きましょう」と言ってくれた職人さんに出会いました。その人の声かけで、その町の職人さんたちと繋がっていきました。
まるで地下洞窟で迷っている時に光が差したようでした。

気がつくと、弊社の製品作りを通し、アメリカにいながらも直接日本の職人さんにご依頼できる体制が築けていました。取引先としてつながっていくたびに、時にはデザインのアドバイスをいただいたり、こちらから小さなニュアンスを伝えることができ、生地の質感からこだわることができる夢のようなデザイナーの仕事現場になっていました。

今回のプロジェクトこそ、自分のミッションである「日本の手仕事を、着物を作る職人さんとともに、後世へとつなげることの取り組み」を実感が得られるものへとなっていました。

でも、このプロジェクトが単なる弊社の利潤追求に思われてしまうかもしれません。そして例え着物の生地を使って制作しても、形状が着物でなければ、着物の技術を後世につなげることの試みだとは、多くの人にご理解頂けないと思います。
そして、洋服の世界は激戦地です。自分の経歴からしたら、着物のファッションショーを続けることの方が、どんなに楽かと思います。厳しい世界が待っているのは覚悟していることです。

私の仕事の拠点はニューヨークでありアメリカ。着物の形状をしたものは売れません。売れないと分かっていることに手を出すことは、投資いただいたお金をドブに捨てると同じことであり、単なる自己満足で終わってしまいます。

少しでも可能性のあることを選択していくことが世界市場に入っていく前提条件だと思います。

「本物の着物を世界中の人に着て欲しい」

だからこそ、着物の生地で、着物の形状を超えた表現をしていこうと思いました。この私の提案が、世界中のファッション業界へ投げかけることができる提案になることも望んでいます。

小さな一歩でしかないかもしれません。
この小さな一歩が、5年後、10年後へと通じるバトンになっていたいと思います。

世界中の人に本物の着物を着て欲しいから。
その想いから始まったプロジェクトです。

あと数ヶ月で発表ができるまで制作がすすんできました。
どうか応援よろしくお願いします。


HIROMI ASAI

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